S&I INTERNATIONAL BANGKOK OFFICE タイ著作権法(1994年)

   
   
   
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1994年著作権法

翻訳:元田時男
監修:井口雅文

1994年12月9日公布

前文省略

第1条  この法律は1994年著作権法と呼ぶ 
第2条   この法律は官報に公告された日から90日を過ぎた日から発効する。
第3条   1978年著作権法は廃止する。
第4条   この法律において、
「著作者」とは、この法律に基づき著作権を構成する著作物を創作する者をいう。
「著作権」とは、著作者が創作した著作物に関し、この法律に基づく排他的権利をいう。
「文学著作物」とは、文字で表現されたあらゆる著作物を意味し、例えば書物、冊子、印刷物、講演、説教、談話、挨拶、コンピュータプログラムを含む、をいう。
「コンピュータプログラム」とは、コンピュータを動かすため又は結果を出すために使用されるあらゆる種類のコンピュータ言語の命令、および命令の集合をいう。
「演劇著作物」とは、演劇の中で構成される踊り、舞踊、振り付け、パントマイムを含む著作物をいう。
「美術著作物」とは、次の各項目に掲げるものをいう。
(1)線、光、色、又は、その他様々なもので構成されるものを特定又は多様な素材の上に創作された絵画及び図画著作物
(2)触れ、掴むことのできる形で創作された造形美術著作物
(3)印刷手段で創作された図画で印刷に使用する版下を含む著作物

(4)建物その他構築物デザイン、建物、構築物の周囲を含む内、外装のデザイン、から成る建築物、又は、建物、構築物の模型を含む著作物
(5)写真著作物とはレンズを通し光をフィルムまたはガラス板に透過させるカメラを用い、ある化合物により当該フィルムまたはガラス板を現像しあるいは写像を作り出すあらゆる他の方法により創作された写真、あるいは写真と似た他の方法や器材を用いて得る画像を含む著作物

(6)地理、トポロジー、科学に関するイラスト、地図、構造図、スケッチ、あるいは三次元著作物
(7)応用美術著作物とは上記(1)から(6)に基づく一あるいはそれ以上の構成からなり、当該著作物自体の鑑賞ではなく、実用、装飾用素材または器材又は商用に用いられるような著作物

(1)から(7)については、美術的価値があるなしに拘らずその写真または図を含む。「音楽著作物」とは、音調及び歌詞を有するか又はそのいずれかを問わず演奏又は歌われる音楽著作物をいい、音譜又は分割された楽譜及び結合した音を編曲したものを含む著作物
「視聴覚著作物」とは、様々な媒体に記録された絵の連続で構成されたもので、使用するために必要な機器により繰り返すことができ、音がある場合、音も含む著作物。
「映画著作物」とは、音の有無に拘らず視的像の連続で構成され、映画として連続して映すため、映画として連続して映すことのできるもの、又は物質上に記録することのできるものをいい、映画を構成する音があった場合、音も含む著作物。
「録音著作物」とは、音楽、演奏の音、又はその他の音の順序で構成されたもので、物体上に記録され、その物体を使用するために必要な機器を使用して繰り返すことができるものをいう。但し、映画著作物を構成する音又はその他の視聴覚著作物を構成する音を含まない。
「実演家」とは実演家、音楽家、歌手、踊り手その他文学あるいは芸術性のある著作物あるいはそれらの構成物での演技、歌、朗読をする人をいう。
「音及びビデオ放送著作物」とはラジオ放送、テレビあるいは同様な方法による音及びビデオ放送により公衆に伝達する著作物
「複製」とは原創作物又はその複写の一部あるいは全部を問わず、複写、エミュレーション、複製、版組み、音声記録、ビデオ記録あるいは音及びビデオの記録を意味する。コンピュータプログラムに関しては、一部あるいは全部を問わず、あらゆる手段でいかなる媒体からコンピュータプログラムの実質的部分を複写あるいは複製することを意味する。
「改変」とは創作物を全部あるいは一部を新しい著作物を作り出すことなく変更、拡張、修正あるいは複写し実態に合わせるように複製することを意味する。
(1)文学著作物に関して、文学著作物の翻訳、選択や脚色による文学著作物の翻案、収集を含む
(2)コンピュータプログラムに関し、プログラムの全部あるいは一部を新しい著作物を作り出すことなくコンバージョン、変更、拡張による複製を含む
(3)演劇著作物に関し、元の言語と同じか違うかに拘らず非演劇著作物を演劇著作物に変えること又はその逆の変更を含む。
(4)美術著作物に関し、二次元や三次元への著作物の変更あるいは元の著作物の模型の製造を含む。
(5)音楽著作物に関し、コーラス、調律の変更あるいは歌詞やリズムの変更を含む。「公衆への伝達」とは展示、実演、講演、祈祷、演技いかなる手段で提供され、販売され、構築され、見聞きでるようにすることにより公衆へその著作物が知らしめることを意味する。
「公表」とは、その様式あるいは文字とは関係なく、著作者の合意の下に公合理的数の公衆の者に対し、複製を作成することにより著作物の複製を頒布することを意味する。しかし、実演又はドラマや音楽の実演、映画著作物、文学著作物についての講演あるいはスピーチ、音及びビデオ放送、美術著作物の展示あるいは建築著作物の建設は含まない。
「担当官」とは大臣によりこの法律を遂行するべく指名された者を意味する。
「局長」とは、知的財産局長及び知的財産局長が権限を委譲した者を意味する。
「委員会」とは著作権委員会を意味する。
「大臣」この法律の遂行に責任を持つことを指名された大臣を意味する。

第5条   商務大臣はこの法律の施行を担当する。また、商務大臣は担当官を任命し、この法律に基づく省令を発布する権限を有する。
省令は、官報に掲載後発効する。



第1章 著作権

第1節 著作物

第6条
   この法律において著作物とは、文学著作物、演劇著作物、美術著作物、音楽著作物、視聴覚著作物、録音著作物、映画著作物、視聴覚放送著作物、文学、科学、美術分野における著作物で、創作者が創作したもので、いかなる形態によっても発表されているか否かを問わない。
 著作権の保護はアイデア、方法、システム、使用方法、概念、学説、発見あるいは科学的、数学的理論には及ばないものとする。

第7条   次のものは、この法律に基づく著作物とはみなさない。
(1)時事の報道並びに文学、科学、美術に属さない単なる情報の性格を有する事実
(2)憲法及び法律
(3)省、庁、局又は、その他中央又は地方政府機関の規約、規則、公告、命令、通知及び回答書
(4)判決文、命令、決定及び政府の報告
(5)省、庁、局又は、その他中央又は地方政府機関が作成した(1)から(4)までの各項に基づくものの翻訳、収集物


第2節 著作権の取得

第8条   著作者は次の条件下で創作した著作物につき著作権を取得する資格を有する。
(1)まだ公表されていない場合、創作の全期間中又はほとんどの期間、著作者はタイ国の国籍を有するか、タイ国内に居住するか、又は、タイ国が加盟している著作 権に関する条約の加盟国の国籍を有するか当該国に居住する者でなければならない。
(2)すでに公表されている場合、その公表が最初にタイ国内でなされたか、又は、タイ国が加盟している著作権に関する条約の加盟国でなされた場合。又は、公表が最初にタイ国外又はタイ国が加盟している著作権に関する条約の加盟国でない国でなされた場合、もし、その公表がタイ国内又はタイ国が加盟している著作権に関する条約の加盟国で、最初の公表の日から30日以内にになされた場合。又は著作者が(1)に定める条件を満たした場合、
 著作者がタイ国籍者でなければならないという条件はもし、著作者が法人の場合、その法人はタイ国の法律により設立された法人でなければならない。
第9条   著作者が従業員又は被雇用者として創作した著作物は、もし、文書により合意していなかった場合、その著作権は著作者に帰属する。ただし、雇用者は雇用の目的に従い公衆に伝達する権利を有する。
第10条 著作者が雇用者から指示されて創作した著作物は、著作者と雇用者が他に合意している場合をのぞき、雇用者が著作権を有する。
第11条 この法律に基づく著作権を有する著作物を著作者の許可を受けて改変する場合、改変した者は、この法律に基づき改変した部分につき著作権を有する。但し、改変を受けた元の著作者の著作物に含まれる著作者の権利には影響を与えない。
第12条 この法律により著作権を有する著作物を、著作者の許可を得て編集又は編纂するとき、又は機械、機器により読み、写すことのできるデータその他のものを編集又は編纂するとき、もし、他人の著作物を模倣しないで選択、並べ変えることにより編集、編纂する場合、編集、編纂した著作物の著作権はこの法律に基づき編集、編纂した者に帰属する。但し、編集、編纂された元の著作者の著作物又はデータその他のものに含まれる著作者の権利には影響を与えない。
第13条 第8条、第9条及び第10条は、第11条又は第12条に基づく著作権に準用する。
第14条 省、庁、局、又はその他の中央又は地方政府機関は雇用又は命令又は管理により創作した著作物の著作権を当然有する。ただし、文書をもって他に合意した場合を除く。

第3節 著作権の管理

第15条 第9条、第10条及び第14条に基づき、著作権の所有者は以下の排他的権利を有する。
(1)複製又は改変
(2)公衆に対して伝達すること
(3)電子計算機のプログラム、視聴覚著作物、映画及び録音著作物の原本又は複製物を貸与すること
(4)著作権から生ずる利益を他人に与えること
(5)条件を付しまたは無条件で(1)、(2)又は(3)の権利の使用許諾を他人に与えること。但し、その条件は不公平に競争を妨げるものであってはならない。

不公平に競争を妨げるかどうかの第1項(5)の審査は、省令で定める規則、方法、条件によるものとする。
第16条 この法律に基づく著作権の所有者が、第15条(5)に基づき権利の使用許諾を他人に与えるとき、第三者にその権利の使用許諾した著作権の部分を著作権から分離されないものと解釈する。但し書面で特段の合意がなされている場合を除く。
第17条 著作権は譲渡することができる。
 著作者は自己の著作権の全部又は一部を他人に譲渡することができる。また、期間を定め譲渡すること又は著作権の保護期間にわたり譲渡することができる。
 第2項による著作権の譲渡は、相続によるものでないときは、譲渡人及び被譲渡人が署名した文書により行わなければならない。譲渡契約書に期間を特段定めていないときは10年間の譲渡とみなす。
第18条 この法律に基づき著作権を有する著作者は、自己をその著作物の著作者として表示する権利を有する。また、被譲渡人又はその他の者に対して改変、切除、改修、又は著作物の名誉を又は著作者の信用を損なうことを禁止する権利を有する。著作者が死亡したとき、文書により特段の合意がある場合を除き、著作者の親族は著作権の保護期間中、前述の権利に基づき訴訟を起こす権利を有する。

第4節 著作権の保護期間

第19条 第21条並びに第22条により、この法律に基づく著作権は、著作者の生存期間及び死後50年間存続する。
 共同著作物の場合、著作権は、共同著作者の生存期間及び最後に死亡した共同著作者の死後50年間存続する。
 著作者又は共同著作者の総てが、著作物の公表前に死亡したときは、著作権は最初の公表のときから50年間存続する。
 著作者が法人であるとき、著作権は著作者が創作したときから50年間存続する。但し、その間に公表されたときは、最初に公表されたときから50年間存続する。

第20条 著作者が筆名又は匿名により創作した著作物のこの法律に基づく著作権は創作されたときから50年間存続する。但し、その期間中に公表されたときは、最初に公表されたときから50年間存続する。
 著作者が判明したときは、第19条を準用する。

第21条 写真、視聴覚著作物、映画、録音著作物又は音、絵で表現するものの著作権は、創作されたときから50年間存続する。但し、その期間中に公表されたときは、最初に公表されたときから50年間存続する。
第22条 応用美術の著作権は、創作されたときから25年間存続する。但し、その期間中に公表されたときは、最初に公表されたときから25年間存続する。
第23条 雇用又は命令又は第14条の管理下に著作された著作物の著作権は、著作されたときから50年間存続する。但し、その期間中に公表されたときは、最初に公表されたときから50年間存続する。
第24条 第19条、第20条、第21条、第22条又は23条により著作権の存続期間の計算を始める公表は、著作者の同意を得た公表を意味する。
第25条 著作権の保護期間が終了する年に著作権の保護期間が終了する日が暦年の最終日と一致しないとき、又は、著作権の終了する日が判明しないとき、著作権はその年の最終日まで存続する。
第26条 著作権を有する著作物を、著作権保護期間終了後に公表しても新たに著作権は生じない。

第5節 著作権侵害

第27条 この法律に基づき著作権を有する著作物に対して、 第15条の(5)による許可を得ないでつぎの行為を行ったとき、著作権の侵害とする。
(1)複製し又は改変すること
(2)公衆に伝達すること

第28条 この法律に基づき著作権を有する視聴覚著作物、映画、録音著作物の音、絵に対して、第15条の(5)による許可を得ないで次の行為を行ったとき、著作権侵害とする。
(1)複製又は改変すること(2)公衆に伝達すること(3)原本又は複製物を貸与すること
第29条 この法律に基づき著作権を有する音、絵を発する著作物に対して、第15条の(5)による許可を得ないで次の行為を行ったとき、著作権侵害とする。
(1)視聴覚著作物、映画、録音著作物又は音、絵を発する著作物の全部又は一部の製作
(2)音と絵の全部又は一部の複製
(3)金銭又は商業上の利益を得て、音、絵を発する著作物を公衆に見せ、聞かせること
第30条 この法律に基づき著作権を有する電子計算機のプログラムに対して、第15条の(5)による許可を得ないで次の行為を行ったとき、著作権侵害とする。
(1)複製し又は改変すること
(2)公衆に伝達すること
(3)原本又は複製を貸与すること
第31条 他人の著作権を侵害したことを知っていたか、知っていたと思われる理由がある者が、その著作物に対して商業を目的として次の行為を行ったとき、著作権の侵害と看做す。
(1)販売、販売のため所有し、販売を申し込み、貸し、貸すことを申し込み、割賦で売り、割賦で売ることを申し込むこと
(2)公衆に伝達すること
(3)頒布して著作者に損害を与えること
(4)タイ国内に持ち込み又は輸入の注文をすること

第6節 著作権侵害の例外

第32条 この法律に基づく他人の著作権に対する行為で、著作権から利益を追求せず、著作者の法律に基づく権利に特に影響を及ぼさないものは著作権侵害とは看做されない。
  第1項の規定の下に、第1項に基づく著作物に対する次の行為は著作権侵害と看做されない。

(1)著作物を利益を目的とせずに、分析、研究すること
(2)自己のために、又は、自己及び家族内又は近親親戚の個人のために使用すること(3)著作物の著作者であることを知っていることを認めて業績を批評し、推薦すること
(4)著作物の著作者であることを知っていることを認めてマスメディアを通して報道すること
(5)裁判の判断のため、又は、法律により権限を持つ担当官のため、又は、判断の結果を報告するため複製し、改変し、展示し又は利用できるようにすること
(6)教師が、利益の追求ではなく、教育のため複製し、改変し、展示し、利用できるようにすること
(7)教師又は教育機関が、教室又は教育施設内で学生に配布、販売するため複製し、著作物の一部を修正し、又は、切除し、又は、要約すること。但し、利益を追求するものであってはならない。
(8)試験の問題、回答の一部として使用すること
第33条 32条第1項の規定に従い、この法律に基づく著作物から、著作物の著作者であることを知っていることを認めて、限られた部分について語り、抽出し、切り取り、複製し、引用することは、著作権の侵害とは看做されない。
第34条 この法律に基づく著作物を、図書館の司書が複製するとき、複製が利益追求のために行われるものではなく、第32条第1項の規定により次の通り行われるとき著作権侵害とは看做されない。
(1)図書館内で使用されるため、又は、他の図書館に提供するための複製

(2)研究又は学術のために個人に対して行われる合理的な部分の複製
第35条 この法律に基づき著作権を有する電子計算機のプログラムに対する行為は、利益を追求する目的のためでなく、第32条第1項の規定に従い次の場合、著作権の侵害とは看做されない。
(1)電子計算機プログラムの研究、教育
(2)電子計算機プログラムの複製の所有者のために使用すること
(3)電子計算機プログラムの著作者であることを知っていることを認めて、批評し、業績を紹介すること
(4)電子計算機プログラムの著作者であることを知って、マスメディアを通して報道すること
(5)保守又はバックアップのため、正当に購入又は受け取った電子計算機プログラムを必要な数複写すること
(6)裁判の判断のため、又は、法律により権限を持つ担当官のため、又は、判断の結果を報告するため複製し、修正し、発表し又は明らかにすること
(7)試験の問題、回答の一部として電子計算機プログラムを使用すること
(8)電子計算機プログラムを使用するため必要な改変をすること
(9)電子計算機プログラムを、公衆の利益のために引用又は研究する目的で保存するため複写すること

第36条 演劇著作物又は音楽著作物を、利益のためではなく、公衆に伝達するため直接、間接を問わず、入場料を取らず、また、実演家にも報酬を支払わず、それが慈善、教育、宗教、社会事業を目的とする協会、財団、その他の団体によって上演され、また第32条第1項の規定に基づき上演されるとき、著作権の侵害とはみなされない。
第37条 公共の場所で広く展示されている美術著作物を図、絵画、建築、浮き彫り、塑像、彫刻、印刷、写真、映画、版画とし、あるいはその他同様の行為は、建築著作物を除き、美術著作物の著作権侵害とはみなされない。
第38条 建築物の図、絵画、浮き彫り、塑像、彫刻、印刷、写真、映画、版画、建築物のモデル展示は、建築著作物の著作権侵害とはみなさない。
第39条 美術著作物の写真、映画、視聴覚放送は美術著作物の著作権侵害とはみなさない。
第40条 創作者以外の者を所有者とする美術著作物に係る著作権の場合、その創作者が最初に創作した著作物に用いた研究から得た印刷パターン、スケッチ、計画、モデルやデータを利用することあるいは最初の著作物の一部を複製する方法で引き続き他の美術著作物を製作する場合は、実質的に最初の著作物の複製あるいはコピーでないならば最初の著作物の著作権を侵害しないものとみなす。
第41条 この法律に基づき著作権を有する建築物の場合、その建物をそれ以前の形態に復元することは、著作権の侵害とはみなされない。
第42条 映画の著作権保護期間終了後、当該映画を公衆に伝達することは、映画に含まれている文学著作物、演劇著作物、美術著作物、音楽著作物、視聴覚著作物、録音著作物その他映画に使用された著作物の著作権侵害とはみなされない。
第43条 この法律に基づく権限を有する担当官による行政執行のため、又は、当該担当官の命令により行われる、この法律に基づく著作物で政府の管理下にあるものの複製は、第32条第1項に従い行われるとき、この法律に基づく著作権の侵害とはみなされない。

第2章 実演家の権利 

第44条 実演家は自己の実演に関し、次の行為に関する排他的権利を有する。
(1)実演を公衆に伝達あるいは視聴覚放送をする権利、但し、既に記録されたものの実演を除く
(2)まだ記録されていない実演の記録
(3)実演家の許可を得ないで記録した実演の記録、又はその他の目的のために許可を受けた実演の記録、又は第53条に基づき実演家の権利侵害とはならない実演の記録の複製

第45条 だれでも実演の記録を商業上の目的で公衆に対して配布するとき、または、当該著作物の複写を直接公衆に対して放送するとき、実施者は実演家に対して正当な報酬を支払わなければならない。報酬について合意できないときは,局長が当該業種の通常の報酬を考慮して、報酬を決定しなければならない。
  第1項に定める局長の命令に対して、当事者は局長の命令を受け取った日から90日以内に、委員会に審判を請求することができる。委員会の決定をもって最終とする。

第46条 実演又は実演の記録にあたって実演家が一人以上であった場合、自己の権利を守り、管理するため共同の代理人を置くことができる。
第47条 実演家は次の条件下で第44条の規定に基づく実演に関する権利を有する。
(1)実演家がタイ国籍を有するか、タイ国に居所を有するとき、又は
(2)実演又は実演の大部分がタイ国内で行われたか、又は、タイ国が加盟している実演家の権利を保護する条約の加盟国内で行われたとき
第48条 実演家は次の条件下で、第45条の規定に基づく報酬を受け取る権利を有する。
(1)実演家が実演の記録をしたとき又は権利を要求したとき、タイ国籍を有していたか、タイ国に居所を有していたとき、又は
(2)実演の記録又は実演の大部分の記録がタイ国内でなされたか、又はタイ国が加盟している実演家の権利を保護する条約の加盟国内で行われたとき
第49条 第44条の規定に基づく実演家の権利は、実演された年の暦年の最終日から50年間存続する。 記録されたときは、記録された年の暦年の最終日から50年間存続する。
第50条 第45条の規定に基づく実演家の権利は、実演が記録された年の暦年の最終日から50年間存続する。
第51条 第44条及び第45条の規定に基づく実演家の権利は、全部又は一部を譲渡することができる。また、期間を定め又は全保護期間について譲渡することができる。    実演家が二人以上の場合、実演家は自己に属する権利のみを譲渡する権利を有する。  相続以外の譲渡は譲渡人及び被譲渡人が署名した文書によらなければならない。譲渡契約書に期間が定められていないときは、3年間とみなす。
第52条 実演家の許可を得ないで又は第45条の規定に基づく報酬を支払わないで、第44条の規定に基づく行為を行ったとき、実演家の権利を侵害したものとみなす。
第53条 第32条、第33条、第34条、第36条、第42条及び第43条の規定は実演家の権利に対して準用する。

第3章 特別な条件下での著作権行為

第54条 タイ国籍者が、この法律に基づき印刷物又は類似の方法により公衆に対して伝達された著作物を、利益の追求のためではなく、勉強、教授、研究に使用するために著作権のある著作物を使用する許可を得ようとしている場合、タイ語へ翻訳すること、又は、タイ語へ翻訳されたものを複製し、タイ語で印刷することについて著作権者に許可を求めたが、拒否されたか、相当期間内に合意に至らないという証拠と共に次の条件下で要請書を局長に提出することができる。
(1)著作権者が、最初の公表から3年間、当該著作物のタイ語翻訳を行わず又は他人にタイ語への翻訳を許可しない場合。
(2)著作権者が自己の著作物のタイ語翻訳を公表し、最後の翻訳公表から3年が経過し、市場に翻訳の印刷物がなく、または、当該著作物の複製もない場合。
 
第1項の許諾要請は、次の基準、手続き及び条件の下に与える。
(1)第1項の(1)又は(2)に基づく期限が過ぎ6ヶ月を経過しないとき、局長は第1項の許可を与えることができない。
(2)局長が許可を与えるとき、許可を受けたものは、許可を受けた翻訳又は翻訳の印刷の独占権を有する。また、許可の期限が切れていないとき、又は、期限後6ヶ月を経過していないとき、局長は同一著作物のタイ語翻訳を他人に対して許可してはならない。
(3)許可を受けた者は許可を受けた権利を他人に譲渡してはならない。
(4)著作者又は著作者の権利を使用することを許可された者が、局長に対して、第55条に基づき許可を受けた印刷物の要点を付し、その印刷物をタイ国内で販売されている同様の著作物と比較して妥当な価格で販売したこと、自身がタイ語に翻訳したこと又はタイ語翻訳を印刷したことを報告したとき、局長は許可を受けた者に対して発効した許可証は最終のものであるという命令を行い、また、遅滞なくその命令を、許可を受けた者に通知しなければならない。販売の許可を受けた者は、局長が許可証終了の命令を出す前に、翻訳又は印刷された印刷物複製をなくなるまで販売することができる。
(5)許可を受けた者は、次の場合を除きタイ語に翻訳することを許可された印刷物複製を国外に送ることができない。

ア)国外にいる受け取り人がタイ国籍人である。
イ)当該印刷物を勉強、教育、研究のために使用する。
ウ)印刷物の送付が商業目的ではなく、かつ
エ)印刷物が送られる国が当該国内へ当該印刷物を送ること又は頒布することをタイ国に対して許可していること
第55条 局長は第54条に基づく申請を受けたとき、当事者に対して報酬及び著作権使用許諾の条件について合意するよう行動しなければならない。合意できないとき、局長は同種の事業における通常の報酬を考慮に入れて妥当な報酬を考慮し、定めなければならない。また、著作権使用許諾の妥当な条件を定めることができる。
  局長は、著作権使用許諾の報酬、条件について定めたとき、申請者に対して許可書を発行しなければならない。
  第1項に基づく局長の命令に関して、当事者は命令を受け取った日から90日以内に委員会に不服の申し立てを行うことができる。


第4章 著作権委員会

第56条 「著作権委員会」と称する委員会を設置する。構成は、商務省副大臣を委員長とし、内閣が任命する12名を越えない有識者を委員とする。この委員は著作権者又は実演家協会の代表、及び著作権者又は実演家の権利利用者から最低6名の任命された委員で構成されなければならない。
 委員会は事務局長、副事務局長を任命することができる。

第57条 有識者委員の任期は2年とし、再任を妨げない。
 委員が任期途中に退任するとき、又は委員の任期中に内閣が委員を追加して任命したとき、代わりに任命された者又は追加して任命された者の任期は、すでに任命されている者の任期と同一とする。

第58条 有識者委員は次の場合退任するものとする。
(1)死亡したとき
(2)辞任したとき
(3)内閣が辞任させたとき
(4)破産者となったとき
(5)禁治産者又は準禁治産者となったとき、又は、
(6)最終判決で禁固刑に処せられたとき、但し、過失又は軽犯罪による処罰を除く
第59条 委員会会議の定足数は委員の人数の半数を下回らないものとする。委員長が会議に出席しないとき、又は、任務を遂行できないときは、会議に出席した委員が委員の一人を会議の議長として選ぶことができる。会議の決議は多数決をもって行う。   委員は一人につき1票を有する。投票が同数のときは、会議の議長が決定票として追加の1票を持つ。
第60条 委員会の権限は次の通りとする。
(1)本法に基づく省令の発布に関し大臣に対して意見を述べること
(2)第45条、第55条に基づく局長の命令に対する不服申し立ての審判
(3)著作権者又は実演家の権利を使用する者から使用料を徴収するための著作者、実演家の協会、団体を奨励し支援すること、又本法に基づく権利、その他の利益を保護し、防御すること
(4)大臣の委譲に基づきその他の事項を審議すること
  委員会は、委員会が委譲した権限に基づき審議又は業務の遂行をするための小委員会を設置することができる。小委員会の会議に関し第59条の規定を準用する。

  
権限の執行にあたり、委員会又は小委員会は審議を行うために必要と認めたとき、関係者を書面で召喚し陳述させること又は書類、資料を提出するよう命令することができる。

第5章 国際間の著作権及び実演家の権利

第61条 タイ国が加盟している著作権保護条約、又は、実演家の権利を保護する条約の加盟国の著作権及び実演家の権利、又はタイ国が加盟している国際機関の著作物は、当然この法律により保護される。
  著作権保護条約、又は、実演家の権利を保護する条約の加盟国名は大臣が官報に公告する。


第6章 著作権及び実演家の権利侵害に関する事件

第62条 本法に基づく著作権又は実演家の権利侵害に関する事件において、民事、刑事を問わず、当該事件に関する訴訟が行われた著作物は本法に基づく著作物又は実演家の権利と推定する。または、原告は著作権者又は実演家の権利を有する者と推定する。但し、被告が著作権者又は実演家の権利を有する者がいないと反証した場合、又は、原告の権利に反証した場合を除く。
  自己が著作権者又は実演家の権利を有する者であることを称する者の氏名又は氏名に代わるものを付した著作物については、その氏名又は氏名に代わるものの所有者を著作者又は実演家の著作物と推定する。
  氏名又は氏名に代わるものを付していないか、又は、氏名又は氏名に代わるものを付してあるが著作権者又は実演家の権利を有する者であることを称せず、かつ、印刷者、公表者又は印刷者でかつ公表者であると称する者の氏名又は氏名に代わるものを付してある著作物に関しては、公表者又は印刷者でかつ公表者である者を著作権者又は実演家の権利を有する者と推定する。

第63条 著作権者又は実演家の権利を有する者が侵害及び侵害者を知った日から3年を経過したとき、著作者又は実演家の権利を有する者は訴訟を起こすことができない。但し、全ての場合、著作権又は実演家の権利の侵害があった日から10年以上を経過してはならない。
第64条 著作権者又は実演家の権利侵害があったとき、裁判所は利益喪失及び訴訟にかかる費用を含めての損害の程度を勘案して、著作権者又は実演家の権利を有する者がその権利に従って執行するための費用も含め、侵害者が著作権者又は実演家の権利を有する者に対して損害賠償をするよう命令することができる。
第65条 著作権又は実演家の権利の侵害が行われたか、侵害が行われようとしている明確な証拠があるとき、著作権者又は実演家の権利を有する者は、裁判所に対して侵害行為を差し止めるよう請求することができる。
  第1項に基づく裁判所の命令により、著作権者又は実演家の権利を有する者が第64条に基づき損害賠償を請求する権利を妨げるものではない。

第66条 本法に基づく違反は和解することができる。

第7章 担当官

第67条 本法の執行を効果的にするため、担当官を刑法に基づく担当官とし、次の権限を与える。
(1)本法に基づく違反があると思われる理由があるとき、商品を捜査又は検査するため、何人の所有する建物、仕事場、工場又は倉庫に日の出から日没まで、又は、その場所の稼動時間内に立ち入ること、又は車両の中に立ち入ること
(2)本法に基づく違反があると思われる理由があるとき、違反に関係する書類又は物品を押収又は差し押さえること。
(3)本法に基づく違反を発見し又は証明する証拠として利用できる証言、帳簿、書類又はそのような証拠があると思われるとき、その証言をしまたは帳簿、証拠を提出するよう命令すること。
  担当官の業務執行に当たって、関係者は正当な便宜を与えなければならない。

第68条  業務執行に当たり担当官は身分証明書を提示しなければならない。
  担当官の身分証明書の様式は大臣が定める。

第8章 罰則

第69条 第27条、第28条、第29条、第30条又は第52条に基づく著作権又は実演家の権利を侵害した者は、2万バーツ以上20万バーツ以下の罰金に処する。
  第1項の違反が商業目的であった場合、6ヶ月以上4年以下の懲役又は10万バーツ以上80万バーツ以下の罰金に処するか又は両方課する。

第70条 第31条に基づく著作権を侵害した者は、1万バーツ以上10万バーツ以下の罰金に処する。
  第1項の違反が商業目的でであった場合、3ヶ月以上2年以下の懲役又は5万バーツ以上40万バーツ以下の罰金又は両方に処する。

第71条 第60条第3項に基づく委員会又は小委員会の命令により証言のため出頭しない者、又は、書類又は物品を提出しない者は、3ヶ月を越えない懲役又は50000バーツを越えない罰金又は両方に処する。
第72条 担当官の第67条に基づく執行を妨害し又は便宜を与えない者、又は、第67条に基づく担当官の命令に違反し、従わない者は3ヶ月を越えない懲役又は50000バーツを越えない罰金又は両方に処する。
第73条 本法に違反して刑罰を受けた後5年を経過しない内に、本法に再び違反した者は、その違反に対して定められた処罰の2倍の処罰に処する。
第74条 法人が本法に違反したとき、法人の取締役、理事又は業務執行監督者全員は法人と共同して違反した者とみなす。ただし、法人の違反が自己の知らない内になされたか、同意していなかったことを証明した場合を除く。
第75条 本法に基づく著作権又は実演家の権利を侵害して製作し輸入し、第69条又は第70条に基づく違反者の所有物であるものは、著作権者又は実演家の権利を有する者に帰属するものとする。違反して使用されたものは没収する。
第76条 判決により納付された罰金の半額は著作権者又は実演家の権利を有する者に支払わなければならない。但し、著作権者又は実演家の権利を有する者は受領した罰金を超える分について民事上の損害賠償を訴えることができ、罰金の支払いはなんら著作者の権利又は実演家の権利に影響を与えない。
第77条 第69条第1項及び第70条第1項に基づく違反は、局長が罰金を課する権限を有する。


付則

第78条 1931年文学及び美術保護法又は1978年著作権法に基づき著作権を有する著作物は、本法が効力を発した日に本法の保護を受ける。
本法が効力を発した日以前に制作されたもので、1931年文学及び美術保護法又は1978年著作権法による著作権がないが本法による著作権保護を受けた著作物は、本法による著作権の保護を受ける。 

国王の命令を受け
チュアン・リークパイ
内閣総理大臣

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